【校長挨拶】令和 8 年度始業式挨拶「科学技術を愛し、新たな価値を創造する人、信頼される人」 2026.4.6
令和8年4月6日
学生・保護者の皆様
校長 田村 隆弘
令和8年度始業式挨拶「科学技術を愛し、新たな価値を創造する人、信頼される人」(校長挨拶)
皆さん、おはようございます。新年度、昨日入学した1年生も迎えてスタートします。1年生はこの始業式には参加していませんが、また、志の高い人が集まってくれました。
特に本年度は、新たに3名の留学生を迎えます。この始業式の後の学生会及びクラブ紹介のところで彼らの紹介が予定されていますので、ここでのご紹介は控えますが、既に5年物質工学科にフィリピンからケイさん、4年建築学科にはインドネシアからの留学生ジュリーさんが在籍していますので、本年度は、5人の留学生が在籍します。日本の学生の皆さんにおいても、留学生との交流を、自らの視野を広げる貴重な機会にして頂き、ぜひ、いつかは海外へ行って、いろんな人や文化に触れて頂ければと思います。自分の目と足で世界を確かめ、また、日本について、そして、自分の人生について考えて頂くことが大切です。
さて、近年、民間企業や県や市など公務員でも20歳で高専を卒業する学生を22歳で卒業する大学生と同等の待遇で受け入れるといった動きが出ています。これらは、ひとえにこれまでの高専卒業生の活躍や実績が、社会に高専生は優秀だと印象付けている訳ですが、ぜひ皆さんも、むしろ先輩達以上にこれからの社会に貢献できる人材になって活躍して頂きたいと思います。
今日は、そうした思いを胸に、私から皆さんにお願いしたいことを3つお伝えします。実は、昨日の入学式で新1年生にも同じようなお話をさせて頂きました。私自身、長く高専に勤めてきてたどり着いた、というと少々大袈裟ですが、今、ぜひ、全ての学生にお願いしたいことです。
一つ目は、「科学技術を愛する人」になって頂きたいということ。
目の前の問題が何であれ、そこで発生する現象のほとんどは科学的に説明することができます。それが、例えば機械や建築物のような目に見えるものの機構であっても、物質の化学反応であっても、電気や情報といった目に見えないものであっても、例えば、帰納法や演繹法といった手法で、それらを近似的に数式で表現する、あるいは、現象を統計的に分析するなどして問題や課題を解決する方法を模索することができます。
もっと身近な話にすると、ある科学者の譬え話ですが、世界で2番目に美味しい卵焼きは線形微分方程式で解くことができると言われました。なぜ、世界で2番目か、それは、どんな美味しい卵焼きでもお母さんの作った卵焼きには敵わないということだそうです。これも科学技術です。
さて、二つ目は、そうした科学技術を活用して、「新たな価値を創造する人」になって頂きたいということ。
科学技術を知っているだけでは意味がありません。社会には、今、この時間にも自然災害や人間社会の問題によって苦労している人がいます。これまで以上に平和な社会にするために、新たな価値の創造が必要であり、ぜひ、皆さんにはそうした人になって頂きたいと思います。
今、本校ではアントレプレナー、つまり起業家の育成教育を推進しています。そこでのテーマは、「ものづくりからことづくり」です。本校で学んだ知識や技術によって、まず、物づくりができる人になり、次に作った物を使って事づくり、つまり、新たな事業を起こすことができる人を育てようとするものです。
高専生には、物を作り出す創造力を発揮する場として、ロボコン、プロコン、デザコンといった3大コンテスト他にも、ディープラーニングコンテストやワイヤレスコンテスト、発酵を科学するコンテストなど様々な機会が用意されています。ぜひ、皆さんもチャレンジして頂ければと思います。
そして、最後に三つ目のお願いが、最も大切なことですが、「信頼される人」になることです。
科学技術を愛し、新たな価値を創造できる人になっても、例えば、その技術を自分だけのお金儲けに使ったり、その技術が誰かを不幸にしてしまう可能性を確認せずに自分だけが幸せになろうとしたりする人は、人々から信頼されないでしょう。平気で遅刻するなど時間にルーズな人や、規則や約束を守らないで言い訳ばかりしている人も同じです。
逆に、たとえ傑出した素質が無くても、たとえ新たな価値を創造出来なくても、日々の生活の中で、何事にも一所懸命に誠実に取り組んでくれる人、時間に余裕を持って行動し、社会のルールや約束をきちんと守る人、思いやりのある人は、そうでない人より周囲の人から信頼されるでしょう。
人生は、自分が生きていく道を探す旅です。一人旅という言葉はありますが、一人で旅しているようで、実は、多くの人のお世話になっています。自動車や公共交通機関で移動することも、電気や水道が当たり前の社会も、食べるものも着る物も、そして、自分の住む家も健康も全て誰かに支えられています。だから、お世話になっている社会の人々に感謝しながら、そして、自分はどのような形でこの社会に貢献するのか、自分の役割を見つけることが大切です。そのために最も大切なことが、人々から信頼される人になるということです。
本校で学ぶ皆さん全員が「科学技術を愛し、新たな価値を創造する人、そして、信頼される人」に成長して頂くことを願って令和8年度の始業の挨拶とします。
