【校長挨拶】令和 7 年度後期始業式挨拶「法はもとより言なけれども(空海)」2025.9.29
令和7年9月29日
学生・保護者の皆様
校長 田村 隆弘
令和 7 年度後期始業式挨拶「法はもとより言なけれども(空海)」(校長挨拶)
皆さん、こんにちは。校長の田村です。
夏休みはいかがでしたか。様々な体験ができたでしょうか。
高専体育大会や各種競技やコンテストなどのために合宿をした部活動もお疲れ様でした。みんな、よく頑張ってくれました。体育大会では、まだ、これからラグビーやサッカーもあります。ぜひ、最高の結果を目指して頑張ってください。
昨日(9/28)は、高専ロボコンの九州・沖縄地区予選が大牟田で開催されました。ここでも、本校のロボット制作局が見事、全国大会出場の切符を掴んでくれました。おめでとう。ぜひ、国技館でも都城高専らしく堂々と競技してください。きっと、地域の人たちにも喜ばれると思います。
この夏、インターンシップや見知らぬ土地へ旅行した人もいることでしょう。人は、生まれ育った環境や様々な人との出会い、そして、体験によって価値観や人生観が育まれていきます。ぜひ、今後も視野を広く、多くの旅や体験をしてください。
さて、本年度の後期が始まりますが、そうした意味では、本校で学ぶ時間、いろんな先生との出会い、新たな知識や技術との出会い、そして、クラスメートや部活動などでのチームメートとの出会いなども、とても大切な出会いや体験です。
後期には、体育競技会や文化祭もありますので、学校全体で、あるいはクラスが一丸となって、盛り上げて頂きたいと思います。ただ、とかくイベントでは、一部の人が頑張っていて、その輪の中に入っていけない人がいたりします。どうか、盛り上がっているイベントの傍らで悩んでいる人がいないか気配りをお願いします。
最近のニュースでは、若者の中でオーバードーズが増えていることが報道されています。薬物依存症が増大した原因は様々考えられますが、SNSの影響は大きいと伝えていました。もちろん、私もSNSを利用していますが、SNSでのコミュニケーションは難しいですね。本心が上手く伝わらないことが多々発生します。
空海の言葉に「法はもとより言なけれども、言にあらざれば顕(あらわ)れず。真如(しんにょ)は色(しき)を絶すれども、色をもってすなわち悟る。」という言葉があります。
現代語訳すると、「真理(法)は本来、言葉を必要としないが、言葉がなければ、明らかにならない。真実(真如)は、形や色にとらわれないが、形や色を通じてこそ理解(悟り)に至る。」というようなことです。
少し、砕いてみると、
「心や気持ちという目に見えないけど大切なことは、言葉や態度で表すことで、相手に伝わる。」
ということですが、こうなると、
「礼儀や言葉や服装などは、それを見た相手の人には、その人の心や考え(という形而上のもの)が、(形而下において)形になって現れているというように伝わる。」
という感覚でも良いと思います。
自分自身の思いや気持ちを人に理解してもらうというのは難しいですね。
裏返すと、相手の人の気持ちや思い、考えというのも、外見や言動だけで判断できるほど簡単なものではないということですね。
つまり、自分自身の内面(本質的な考え)を周囲の人に理解してもらうには、言語能力や表現力を豊かにすることが大切であり、一方で、相手の人のことを理解する場合には、その人の言動は、その人の内面の一部でしかないということが理解できないといけないということになります。
では、言語能力や表現力は、どのようにして身につくでしょうか。
何事も、身につけるには、経験と努力が必要です。さまざまな出会いや経験を積み重ね、何度も同じことを繰り返す努力、勤勉さが大切であることは、勉学やスポーツにも通じるところがあります。
どうか、クラスメート、チームメートの中で上手に関係性を学びつつ、一緒に成長していってください。
これから始まる本年度後期が、皆さんにとっても本校にとっても飛躍の時間となりますよう祈念して、始業の挨拶とします。