光学顕微鏡で細胞を観察すると、細胞には液体が入っていて、細胞小器官(核、ミトコンドリア、葉緑体とか)がそれに浮いているように見えます。しかし実際は、細胞骨格というタンパク質繊維の複雑な網目構造が存在し、これは様々な細胞活動に関与しています。
この細胞骨格を形成しているタンパク質繊維の一つがアクチンフィラメントです。アクチンフィラメントはアクチンモノマーが重合したもので、細胞運動、細胞移動、食作用、原形質流動、細胞分裂、細胞内物質輸送などの様々な機能に関与しています。これらの機能は、アクチンが重合脱重合すること、つまり、フィラメントになったりモノマーになったりすることで制御されています。
このアクチンの重合脱重合を調節しているのがアクチン調節タンパク質と呼ばれるもので、僕の研究しているデストリンはこれの一つです。このアクチン調節タンパク質のおかげで生体内でアクチンフィラメントが正常に機能することができ、生物は生きることができます。これまで、多くの研究者によってアクチン調節タンパク質の働きが明らかにされてきました。しかし、アクチンフィラメントにどのように作用し、脱重合を促進しているかについては明らかにされていません。
僕はこのデストリンのアクチンフィラメントに対する作用機構を解明しようと日々研究しています。そして、これが解明されたあかつきには、偉人として崇め奉られる予定。